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歯科の安全とトレーサビリティー【traceability】

2009年11月14日


レーサビリティー【traceability】と言う言葉を知ってますか?
《跡をたどることができることの意》食品の生産から加工・流通・販売までの過程を明確に記録し、商品からさかのぼって確認できるようにすること。また、そのシステム。生産履歴管理システム。→牛肉トレーサビリティー法
数年前のことである。食品偽造事件は記憶に新しいことであります。
一連の事件後、食卓にあがる食品が一体どこでどう生産されて、どのようなルートで食卓に上がるか?
食品業界は、トレーサビリティーいう方法を導入しようとしている。
これにより、今食べようとしている食品が何県のだれが生産し、どこ経由でスーパーに流通しているかが一目で分かる。
そんな世界が当たり前のようになりつつある。
一方歯科療分野ではどうか、皆様ご存知でしょうか。?
これからお話することは私が体験した事実であり。このような事を国が容認している現状を是非皆様に知って欲しいと考えております。
そこで、患者様に安全を提供する方法として、私は、メタルフリー歯科を選択しました。
IMG_5669セレック.jpg

数年前のある日のこと、私のクリニックに毎朝歯科技工所からの技工物を届ける人がやってくる。
その技工物の中にいつもと違う色合いのメタルコアがあった。
この頃、貴金属相場が高値の時期でもあった。
私は何気なく「このメタルコア、変色しているけど、お宅の技工所で作った物ではないんじゃない?」と言ったところ。その担当の方は、しばらく考え込んで「ええ。」と。
そんな答えがかえってくるとは思っていなかった私は、「ええ」という返事に耳を疑った。
「嘘でしょ?」「どこで作っているの。」と質問すると。
「外注で、、、、、。」と言葉を詰まらせた。
私は、その集配員の方に技工物を担当した技工士の電話番号を聞き出し電話をかけたのである。
「はい、000000(私が出している歯科技工所の名)です。」
私『伊勢崎の植田歯科の植田ですが。いまどちらにいらしゃいますか?」
A氏「伊勢崎です。」
私「一度お会いして、メタルコアの金属が変色している件で、お伺いしたいことがあるのですが。」「今日の診療後にお会いできませんか。」
A氏「今日は、あいにくこれから歯科医院での立ち会いがあるので、、、、、、。」
私「何時になっても構いません。伊勢崎のどちらの歯科医院で立ち会いがあるのですか。?」
A氏「、、、、、。」
私「本当は伊勢崎にいないでしょ?」
A氏「、、、、、、、、、、、。」無言。
私「いま本当の事言わなかったら、歯科技工士免許に関わる事態になりますよ。」といってしばらく沈黙の後、A氏は重い口を開いた。
A氏「実は、いま長野県で歯科技工所を開業しています。」「0000000からは宅急便で技工物を送ってもらって下請けをしております。」
「使用メタルはキチンと日本製の一流品を使用しております。それは信じて下さい。」

つまり大手の歯科技工所が歯科医院から技工物を預かりそれを宅急便で別の下請けに出す。
こんなことがあって良いのか?
正直、驚きました。
てっきり、いつも頼んでいる歯科技工所でできているものと思い込んでいたので、それは、産地偽装が歯科会まできたのかと実感した瞬間であった。!

そこで、そのメタルをGC(一流の歯科材料会社)へX線元素分析を依頼いたしました。
その結果は、日本国内で販売されている正規のメタルであることがわかりました。
ひとまず安心しました。

そんな事をブログに書いたところ、TVのとある局が取材にやってきまいした。
その局の方の話によると、歯科技工物を海外に丸投げし、あたかも日本国内で歯科技工士のライセンスを持った歯科技工士が製作したかのように偽るケースが最近多発しているとのこと。
アメリカの例では、中国に製作された技工物から有害の鉛が検出されたとの報告があるとのこと。

では、患者さまに安全な補綴物を入れるにはどうすれば良いか?
それは、貴金属を使用しない材料を使用し、自院で製作する。
結論は、これしかないのです。

そこで、私はセレック3Dを選びました。
セレック3Dとは、ドイツ製のCAD/CAM用コンピューター。
光学印象といい、口腔内で形成した歯の写真を撮影し、そのデーターを元にコンピューター上で歯牙のデザインをして)セラミックブロック(ドイツイボクラール社製)をミリングマシーンで削りだし、それを研磨してセットするというハイテクマシーンであります。
このハイテクマシーンを調教するには、それなりに覚悟が必要です。
まず。
1、歯の形成。あいまいな形成では機械は受け付けてくれません。45歳を超えた私にとっては、顕微鏡を見て形成後きちんと削れているか確認が必要でした。
2、セレック3Dがミリングしやすい形成を知る事が大切。これに何度も泣かされました。ミリングするバーの直径が実際の形成より大きいと補綴物の適合に影響を受けます。
ミリング中にセラミックブロックが破折することが初期に多くありました。この機械フェラーリと同じで、乗りこなすのにテクニックがいります。(ちなみに私はフェラーのミニカーしか持っておりません。)
3、休日返上。診療が終わった後、一人セレックの前でひたすらデザインを行いました。木曜日、日曜日は朝8時から夜11時まで1日十数本ミリングに明け暮れた事がありました。
唯一の楽しみが、ステイン時に聞くTBSラジオ
オオサワユウリのユウユウワイド。日曜天国。爆笑問題。

500本を過ぎるころからセレックの心がわかるようになってきました。
本日も、2本セットしましが、適合ばっちりでした。
レーサビリティー【traceability】は、というと。
→ドイツイボクラール社製のブロックをシロナ経由で購入し、全て植田歯科で製作する。
これが私の出した結論です。
確かに費用はかかりますが、安全性は保証いたします。


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