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歯科検診は名探偵コナンと同じように鋭い洞察力から。

2007年2月22日

歯科医師の仕事と言うのは、虫歯を削ったり、歯を抜いたり、義歯を作ったりするだけではありません。
地域社会への奉仕の仕事も含まれます。
今日は歯科検診についてご紹介しましょう。

幼児への検診事業。
乳幼児の虫歯予防や、顎口腔領域の奇形や腫瘍の早期発見は言うまでもなく、幼児虐待のサインや他の全身疾患の指摘等があります。
例えば、、、、、、、、、、

全顎に渡る幼児の虫歯があった場合。

以下の事をチェックします。
1.就寝時の哺乳瓶での清涼飲料の補給。
2.日中その子供をだれが世話をしているのか。(両親が働きに出ていると、そのお子様は祖父母が見る事が多い。
祖父母は、往々にして孫が可愛い為に、多くのお菓子を上げる傾向にあります。)

3.朝食をきちんととっているか。:コンチネンタルブレックファーストでは、腹持ちが悪いために、間食が多い傾向にあります。つまり、食事ごとに口腔内はミュータンス菌により産生される酸により歯の脱灰が起こります。

4.喘息等の疾患がないか。これは見落としがちなポイントです。
喘息の治療薬には、気管支を拡張する薬剤があります。このお薬を服用しますと、β作用により気管支は拡張するのですが、副作用として唾液の分泌が低下します
(他にも口渇を引き起こす薬剤はたくさんあります。)
唾液が少ないと、歯に付着した酸を中和する緩衝作用が発揮出来ないために虫歯になり易くなります。

5.鼻が詰まっていませんか?
鼻が詰まると、口で息をします。そうしますと歯の表面が乾きます。
4と同じで、唾液の緩衝作用が出来なくなります。
アデノイドや鼻疾患は、幼児に大切なチェックポイントです。
(鼻クソがいっぱいあれば、鼻を清潔に保つように指導します。)
口呼吸をそのまま放置しますと、口輪筋の弛緩により歯は出っ歯となります。
また、幼児の睡眠時無呼吸疾患の誘因となります。→睡眠時の無呼吸は、こどもの成長ホルモンの分泌を減少させます。

6.イジメや幼児虐待
歯のきれいなお子さんは、規則正しい生活と親からの大きな愛情に満ちております。(ちょっとここは、オーバーですかね。)
イジメや幼児虐待のお子様は、いつも緊張を強いられます。
そうなりますと、交感神経がいつも優位に立ち、唾液の分泌が常に少ないことが予想されます。

7.虫歯があって、痛くて噛めない。
これは子供だけではありません。歯の欠損や虫歯が多くありますときちんと咀嚼ができません。
そうしますと、唾液の分泌が少なくなってしまします。→そうしますと、唾液の緩衝作用が低下→虫歯傾向増大。

8.エネメル質形成不全症
もともとある歯の表面の組織であるエナメル質が形成されないか、または形成量が少ないと他の因子が正常でも虫歯の傾向が高くなります。

その他のチェックポイント
9.親子関係のチェック
歯科検診時の親子関係や、子供の手足のアザの有無。
アザは、虐待のみではなく血液疾患でも起こります。
(以前、私は子供を診察中突発性血小板減少症(ITP)を医師より早く発見して専門医に紹介した事があります。)
呼吸音(歯を見る為に、こどもの口に顔を近づけると、喘息時にある喘鳴(ヒューヒュー音)や、口臭のチェック(全身疾患由来の口臭)をチェックします。

10.子供の仕草や歩き方
例えばレット症候群(Rett症候群:外見上の特徴は、手をもみ合わせる、手をたたく、手を口に入れる等の意味の無い常動運動を繰り返すのが特徴)。他の疾患での知的発達の遅延等チェック。

どうですか、たかが虫歯検診といっても、診察室に入る時から名探偵コナンのようにチェックしているのですよ。

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